閉塞感漂うこの世界に現れた、最後の救世主（メシア）

閉塞感に満ち溢れた世界。

何もかも諦めて、ただただ虚空を見つめて街を歩く人々。

なぜこんな世の中になってしまったんだろうか。

もっと世の中とは、人生とは、希望に満ち、何物にも縛られず自由だったはずだ。
己の人生を、己自身の足で歩き、その歩いた軌跡を誇れるような生き方をし、そして誰しもが世界から必要とされる存在となるはずだった。

たが、現実はどうだろうか。

精神的に疲弊しきった人々だらけではないだろうか。学校や職場、そして世の中とは常に強者が弱者を踏みにじる。そして、弱者はただただ強者に従い生きていく。

もっとも辛いのは、少しでも希望をもった弱者だ。

「もう少しだけ頑張れば・・・」
「頑張れば俺だって・・・」
「諦めなければ・・・」

グシャリ。

嫌な音がした。

歯を食いしばりながら、人生という名の右も左も目的地さえも分からない砂漠を這い蹲りながら歩んでいく弱者を、強者が踏み潰した音だ。

そう、結局強者にとって弱者とは、蟻や微生物のような小さな命、取るに足らないものなのだ。

僕らに希望はないのか？

弱者は、ただただ蔑まれ、そして気力を無くし、虚ろな目をしながら朽ちていくしかないのか？

誰か、僕たち弱者の気持ちを理解し、そして励ましてくれる救世主はいないのか？

幻想。

それは、1人の弱者が最後の最後、息をひきとる前に夢見たただの幻想に過ぎなかった。

現実は、己が思っているよりも厳しい。

弱者という蟻は、強者という巨象の足に踏みつぶされる運命なのだ。

そう、もうこの世に弱者を救う者は存在しない。